毎年3月にニューヨークで行われるAD Design Show。こちらは雑誌 AD (Architectural Digest)が主催しているプロ向けのトレードショーで、今年で18回目を迎え、およそ400のブランドが出展しました。展示会場はマンハッタンの西側、ハドソン川沿いのピア94。AD magazine は1920年にカリフォルニアで発刊され、現在は9カ国で発行されている建築・インテリアデザインの雑誌です。
AD Apartment は展示会のアイコニックなデザインブース。今年デザインしたのはニューヨークのインテリアデザイナーSASHA BIKOFF。31歳という若さで抜擢。
会場内は4つのセクションに分かれて展示されています。
FURNISH:室内および屋外用のラグジュアリーファニシング
REFRESH:ハイエンドキッチン、バス及び建材
MADE:アーティストによる限定又は1点もののファインアートとファニシングの展示及び販売
THE SHOPS:直接販売のブティック
ここでは、今回の展示でトレンドやアーティな展示がみられたREFRESHとMADEについてを紹介したいと思います。
REFRESH(ハイエンドキッチンとバスおよび建材)セクションで注目したいのは、REFRESH全体で69ブースあるうちの30ブースがキッチンアプライアンスブランドが出展していたことです。アメリカ国内では高級層向けキッチンブランドのSub Zero and Wolf、海外ブランドではドイツのMieleを含めて国内外のブランドが出展していました。
豪華なキッチンアプライアンス展示と共に各社で共通して多く見られたのが「スマートキッチン」対応のアプライアンスでした。Amazon AlexaやGoogle Home、又は各社が開発したスマートフォンのアプリを使って外出先からでも食洗機のサイクルをスケジュールしたり洗濯機を回す、オーブンを予熱するなどが可能になっています。
各キッチンアプライアンスブランドがスマートキッチンに力を入れているのは、
・スマートキッチン市場は2019年から2023年までに北米、ヨーロッパ、アジアなど世界的な年次平均成長率が23%見込まれる
・アメリカ人の67%が今後10年でスマートホームはスタンダードになると予期している
・アメリカ国内のミレニアル世代の74%が今後5年以内で家を購入検討している
ことが影響してるのではないでしょうか。高級 キッチンブランドのみならず、アメリカ国内最大手アプライアンスブランドも続々とスマートホームキッチンを展開しています。
Amazon Alexa が昨年12月の時点で1億台以上、Google Home が5000万台以上をセールスしており、既に生活の中に取り入れられていることも、スマートホームの今後の広がりを予期する大きな要素です。
キッチンアプライアンスのデザイントレンドとしては、ステンレススチールマット仕上げのカラー展開、その中でも特にブラックステンレススチールのガス/IHレンジ、オーブン、レンジフード、冷蔵庫やワインセラーなどが多く見られました。既に一昨年頃から黒のファウセットやバスルームのシャワーヘッド等が各社から出ていますので、その流れでキッチンアプライアンスでもトレンドとなっているのではないでしょうか。
MADE(アーティストによる限定又は1点もののファインアートとファニシングの展示及び販売)セクションには140のブースがあり、ニューヨークベースのアーティスト達が多数出展。個性的な作品をその場で購入することも可能です。アーティな照明器具や家具が展示されており、またアーティストに作品の内容を直接聞くこともできるので非常に面白いセクションです。
和からインスパイアされた家具も見られました。中央の照明もニューヨークのデザイナーによるものですが、日本の金箔が使われています。
NY在住の日本人デザイナーが立ち上げた家具ブランドHACHI
NYで家具デザインを学び、経験を積まれた後にブランドを立ち上げられた実力派デザイナーです。NYの日本料理店にも納めているそうですよ。
隣のピア92で同時開催の DIFFA’S DINING BY DESIGN 2019 テーブルコーディネート展。エイズをコンセプトにしたテーブルコーディネートが展示されています。DIFFA(Design Industries Foundation Fighting AIDS )はニューヨークに本部を置くAIDSサポートの団体で、エイズ治療や教育の資金を援助しています。DINING BY DESIGNでは大規模なサイレントオークション、COCKTAILS BY DESIGNパーティー、最終日翌日には終夜ガラも開催され、その収益の一部はDIFFAに寄付されます
いかがでしかたか。
NYで4日間に渡って行われている展示会とあって、アメリカ国内だけでなくヨーロッパブランドの出展もあり、また多数のニューヨーク在住アーティストの作品を見ることができる機会とあって大変賑わっていました。
スマートキッチンを含むスマートホームの展開には今後とも注目して行きたいと思います。