マンハッタンのNomad地区にあるMADE Hotel はNoMad HotelやAce Hotelにほど近い場所に2017年にオープンしました。 18階の建物内には108の客室、レストランやカフェ、2つのバーがあります。
デザインはL.A.ベースのデザインオフィスStudio Mai 。デザイナーのMilo Garciaはパリ、ロンドンでアーティストとして活躍した後にL.A.にてCrystal Wynnと共にデザインオフィスを設立しています。
このMADE Hotel には彼らのデザインスタイル“boho-meets-casual professional style”「ボヘミアンとカジュアルを融合したプロフェショナルスタイル」が取り入れられています。
BOHOスタイルとはボヘミアンスタイルのことで、自然素材や有機的な素材での手作り感あるフォルムの家具やファブリックと、そこへ”more and more”のごちゃ混ぜ感を加えたインテリアを言います。このホテルデザインにもエコやサステイナブルを意識した素材の内装や家具、またラグ、ランプシェードやクッションなどにはごちゃ混ぜ感のインテリアが見られます。植物がアクセントで置かれているのもBOHOの特徴です。
ホテルのエントランスを入るとまずこのカフェが目に留まり、そしてカフェ好きならすぐにコーヒーを飲みたくなってしまうことでしょう。それは都会の喧騒を忘れるようなインテリアデザインが作り出しているのかもしれません。
一方で客室のインテリアはWabi-Sabiスタイルの家具をコーディネートしており、全体としてはミニマルなインテリアでまとまっています。部屋は決して広くはありませんが、どの部分を取っても必要なものがきちんと収まっており、また自然素材のインテリアや照明の演出もあって寛ぎながらも快適に過ごすことができます。このホテルの写真に日本的な雰囲気を感じている方もいるかも知れませんね。
Gracia氏はこのホテルに「Ace Hotelのキャンプのような旅から卒業し、よりカスタマイズされたホテルを求めている好奇心のある旅行者のため」のデザインをコンセプトとしています。同じNomad地区にあるAce Hotelに宿泊したことがありますが、部屋はヴィンテージxインダストリアル×アートでまとめられ、ミレニアル世代の主にIT企業で働く人を中心に人気を博しています。一方で設備は最低限であり、また1階ロビーから続くバーエリアには週末ともなると夜中まで人がごった返しクラブさながらで、落ち着いた雰囲気で夜を過ごしたいゲスト向きではありません。
MADE Hotelも同様にミレニアル世代がカフェやバーエリアでMacbookを使う姿を多く見ますが、お酒をコーヒーに持ち変えて、朝はカウンターや光が差し込む窓際に座ってコーヒーを飲みたくなるような空間をインテリアから作り出しているのは大きな違いと言えるでしょう。
実は今回私もNY滞在にあたり、まさにMADEホテルのような滞在先を探していました。デザイナーはすでに「好奇心ある旅行者」のニーズを掴んでいると言えますね。